小説4 記憶
何が悪いのだろうか?
理解できない、何を侵したと言うのだろう?
何ひとつ法を犯し、おきてを破り、慣習を踏みにじった訳では無いのに...
キェルケゴールの様に神を疑い呪ったわけではないのに、この仕打ちは何なんだろう?
一つだけ思い当たることがある、「成長を望んだ事、そして世界を知ろうとした事」
確かに思い当たる、最初はにこやかであったが質問された教師の顔が段々歪み、視線さ
え避ける様になった事はいつもである、人びとは知ることはタブーだと感じているか如しのパフォーマンスなのである、知ることは「迫害」を生む原因のように信仰しているかのごとくである、バカ助であれと迫るのである、知は力なりの踏み絵を踏めと強要し
てくる、唯一の知が許容される領域は「マウント」の取り合う場だけである、総合的、継続的な知はバカにされるのである、知の瞬間芸のみがモテはやされるのである、嘔吐である、
記憶、ここで思い出されるのは「言葉=儀式」であるということである、言葉・儀式そのものに何の意味もない、言葉・儀式の積み重ねが「意味」を形成するのである、 それはチェン・カイコー,の「人生は琴の弦のように 」の弦を千回切る行為なのである、『野性の夜に』
の主人公の様に朝日に向かって叫ぶのである...