詩人であるということー村上春樹のインタビュー記事の波紋ー

村上春樹が「詩人である」かどうかは分からないし知らない、しかしかれの立ち位置は「詩人」の立ち位置に近いものがあると感じている、つまり「アイデンティティ」をもたない、「何物でもない」と言う立ち位置である、ある人気の流行詩人に聞いたが「理髪店に行って『何をしているんですか?』と聞かれ詩を書いていますと言ったらそれき

 

り黙られてしまい、気まずい雰囲気になってしまった」という事です、「何物でもない」ということはそう言うもので、そのぽっかり空いた空間・空虚に「世界」を入れ込み、観察、分解し描写していくのが「詩人である」、その詩を「小説」に転換したのが村上春樹ではないかと感じている、それが一番現れているのが「ダンス・ダンス・ダン

 

ス」の「五反田君」ではないかと思う、彼は「何物にでもなれる」しかし彼は自分が「何物でもない」と言うことを深く自覚している、そしていつかそれがバレるのではないかとびくびくしている、そしてそのアイデンティティを演じることに重荷を感じるようになっていく......。

 

しかしながら村上春樹ほどそのデビューから賛否両論の多い作家はいないのではないかと思う、見出しのサブタイトルの「インタビュー記事の波紋」としたのはTwitterのトレンドを見た時に彼に対する「罵倒」「罵詈雑言」の激しさである、それは僕にとってとても不思議な光景である、作家の言葉とは「何物でもない」立ち位置からの空虚な言

 

葉・虚構でしかないのにそこまで激しく反応するのが理解できない、「小説は所詮小説でしかない」のであってその「所詮小説でしかない」作者の言葉、ある意味では「虚言」にそこまで「反応」してしまうのが不思議で、そこに何か「精神の病」が存在すると感じるのは僕だけであろうか?